曽爾村の求人情報

農家さんの愛情がつまったトマトを選り分けてお客さまに届ける、トマトの橋渡し役

業種

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募集期間:

2022.12.01~

1年で1回しか作付けができないリスクと戦いながら生まれた、農家の想いがぎゅっとつまった曽爾高原トマト。
毎年夏の時期になると、このトマトの味を求めて、多くのお客さまが曽爾村にやってきます。

 

今回の求人は、農家の愛情を受けて育ち、たくさんのお客さまから愛され続ける、真っ赤でまん丸なトマトにまつわるお仕事です。

 

曽爾高原野菜のはじまり

「曽爾高原野菜」をご存知でしょうか。

標高は約400〜600mで年間の平均気温は13度という、涼しい気候が特徴的な曽爾村。
夏でも寒暖差がある曽爾では、その特殊な気候の恩恵を受け、様々な作物が豊かに育ちます。

 

かつて日本で林業の景気が良かった時代。
曽爾村にも多くの杉桧が植えられ、林業を生業とする人も多かったのだとか。
なかでも主流なのが、林業と農業を兼業するスタイル。
山行き林業の仕事と同時に、田畑で稲作や多品目にわたる野菜の栽培・加工・出荷をしていたそう。

 

しかし、時代の移り変わりとともに安価な外国産木材が台頭することで国産木材の需要が低迷し、林業を生業とする人が減少していきました。
主な生業が農業となっていくなかで、かつて林業と農業の兼業で作られていた少量多品目生産のあり方を見直し、「稼ぐ」ための農業を行う必要性がでてきました。

 

そこで、曽爾の涼しい気候の恩恵を受けて育つ作物にスポットを当て、「曽爾高原野菜」の生産に力が入ります。
その「曽爾高原野菜」における主力の野菜こそが、糖度10%以上で知られる「大和完熟ほうれん草」や、「〇曽(まるそ)トマト」の愛称で親しまれた「曽爾高原トマト」なのです。

 

曽爾高原トマトの特徴

曽爾高原トマトの品種は「麗夏(れいか)」と呼ばれ、裂果に強く、食味が良いのが特徴。
夏の寒暖差、そして水分と乾燥の落差をつけながら育てる曽爾高原トマトは、甘みと酸味のバランスが絶妙で、育てる農家ごとに違いがあるのも魅力。今も昔も多くのファンに愛されているトマトです。

 

そんなファンをもつ曽爾高原トマトですが、実は作付けと収穫の機会は1年で1度しかありません。
土づくり・育苗・接ぎ木・定植・摘果・収穫と出荷・ハウスの片付けなど、1年間ほとんど休む暇もなく、トマト作りが行われています。

 

だからこそ、何が何でも失敗できない。
そのリスクを背負いながら、必要以上に手間と愛情をかけ、大切に育てて出荷されています。

 

曽爾高原トマトを支える人たち

「昭和の最盛期の頃には40~50件ほどトマト農家があったけど、林業の衰退とともに次第にトマト農家も減ったね。少ないときで3件まで減ったこともあるけど、最近は地域おこし協力隊の子たちも来てくれたりして、今は8件のトマト農家さんが曽爾村にいるね。」

 

 

そう話すのは、「曽爾トマト部会」の部会長を務める寺前 健史さん。

 

曽爾村では、もう数十年も前から高齢化や後継者不足による農家の減少が課題となっていました。
「曽爾トマト部会」では、先人達が育て上げてくれた「○曽のトマト」を未来に繋げるために新規就農者の育成に力を注いでおり、その部会長を約10年にわたってつとめる寺前さんは、曽爾のトマトのことを第一に考え、部会メンバーや村役場など、様々な人と関わりながら曽爾高原トマトの推進にかかる取組を行っています。

そんな彼は村民からの信頼も篤く、「トマ健さん」の愛称で親しまれています。

 

───部会長を10年務めているとのことですが、トマト農家歴はどれくらいですか?

 

「トマト農家になって、2023年で27年目。大学卒業後は小売業界に9年間就職していたんだけど、昭和から平成にかけてバブルがはじけた際、当時やっていた仕事はサラリーマンとして定年までやるべき仕事じゃないと思ったんだよね。そこから転職先も決めずに退職したのがきっかけ。」

 

───そこからどうやってトマト農家に?

 

「景気が落ちた時期だったから、求人自体も少ないし、自分に合う仕事もなかった。それで、もともと曽爾出身で、親が曽爾でトマト農家をしていたから手伝うようになって、そしたら自然の流れでトマト農家になっていたよ(笑)」

 

───自然の流れで農家になるって、なかなか無いですよね。不安はなかったですか?

 

「農家の仕事が好きとか嫌いとか言ってられない状態だったよ。なにがあっても農業で生きていくしかないと腹を括ったんだ。そうしたら気が付いたら今年で27年目だよ。」

 

───27年もやっていると、さすがにプロですね。

 

「27年もトマト農家をやっていても、毎年毎年トマト作りに対する気持ちは変わるよ。たしかにトマトを作る作業自体は毎年一緒だけど、『去年』『一昨年』『その前の年』…という風に、過去の実績を振り返りつつ、毎年研究しながらやっているんだ。

『農業は毎年1年生』と巷ではよく表現されているけど、俺は少し違うと思うね。確かに自然の影響などで毎年毎年変化することはあるけど、『去年』『一昨年』『その前の年』…と、20年以上の長い年月を経て培ってきた、『眼』があるから。」

 

ハウスのなかで起きる些細な変化に、気が付き対処できるか否か。

その大事な局面で、経験から積まれた観察眼が鋭く光る点においては、「1年生の農家」、いわゆる新規就農者とたしかに違う点かもしれません。

そういった意味では、良いことも悪いことも経験して培われてきた「眼」を持つ寺前さんは、曽爾村が誇るベテラン農家です。

 

───そんな寺前さんから見て、曽爾のトマトって何が魅力なのでしょうか?

 

「曽爾のトマト農家は8件しかないんだ。全国あまた存在するトマト農家に勝っていくには、何で勝負すると思う?」

 

───なんだろう…味?見た目?

 

「せやな。もう少し詳しく言うと、選果基準で全国のトマトに勝っていくっちゅうことや。生産規模が大きい所は、生産数で勝負する。その分、実は選果基準は甘い。

出荷数で勝負してくる大きい所に勝つためには、選果をしっかりとして、確かな品質を確保することが一番大事。そうすれば、お客さんも『ここのトマトの味と品質は確かだ』って納得・安心してその後も買ってくれるやろ。」

 

───今回の求人も、その「選果」に携わる人を募集するんですよね?

 

「そう!!曽爾のトマトは1年で1度の収穫チャンスしかない。だからこそ、1件1件の農家がトマトに込める想いっていうのは、尋常じゃない。「失敗できない」というリスクからくる想いもあるが、一球入魂のように「美味しくなれ」「いいトマトを作りたい」って、たくさんの愛情と想いを込めて大切に作っているんです。

その農家さんの想いをしっかりと受け取って、確実に選果し、出荷する。それが今回募集している求人の仕事です。」

 

 

 

 

───そんなに想いがつまったトマトの選果となると、責任重大ですね。

 

「せやなぁ。『いいトマトをお客様に届けたい』という農家さんの気持ちはもちろん、その想いは選果を担当するパートさんにも持ってもらいたいね。

トマトのおいしさは糖度計などで数値化・見える化はできるけど、それができない『みんなの想い』がどれだけ1つのトマトに乗っているかが、『美味しい』と思ってもらえる秘訣だと思っているからね。」

 

「トマトを選果するお仕事」

これだけ聞くと、一見単純そうなお仕事にも思えますが、そこに課せられた責任は意外と大きいようです。
だって、トマト農家さん1人1人の「想い」が1個1個のトマトに詰まっているから。
そして、自分が選果したトマトたちが、お客さまの手元に直接に届いていくから。
だからこそ、「単純な仕事そう」と甘く見ず、自分自身も「曽爾のトマト」に愛情を抱き、確実な選果を行っていきたいところですね。

 

「トマトの選果」というお仕事

この道10年程度のベテランである芝田さんに、選果のお仕事の話を聞いてみました。

 

 

 

───初めての人にとっては難しそうなお仕事ですが、どんな流れで仕事をするのでしょうか?

 

「実際に働く期間は、トマトの収穫期である7月~10月中旬頃まで。9月中旬になると収穫数も減ってくるから作業が1日起きになって、10月になると3日に1回、そして10月中旬頃に終了見込みです。」

 

───就業時間はどうなのでしょうか?

 

「時間は原則9時~17時やけど、その日のトマトの量によって勤務時間が変わることもあります。トマトの選果が終わり次第業務が終了するため、原則の時間よりも早かったり、遅かったりと、流動的になることもあります。農家の皆さんは翌日の収穫量の目安が分かるので、収穫量に応じて出勤時間に変更が必要な場合は、事前に連絡がもらえます。農作物は自然相手のものですから、選果のお仕事も農家さんと同じく、自然と向き合いながら勤務している感覚がありますね。」

 

───この道10年とのことですが、初めての方には難しいお仕事ですか?

 

「トマトの選果には『選果基準』というものがあるから、その基準をもとに目で見て色・形状・傷の有無などを判断していく仕事やねんけど、最初は難しいやろうな。けど誰でも最初は技術もなんもあらへんし、やっていったら次第に慣れてくるから大丈夫。ただ、『これは秀やな、これは優やな』って目で見て分かるものは、思った通りに選別してくれて良い。もし分からなかったら、はじめのうちは避けてもらってもかまへんよ。」

 

───芝田さんがこのお仕事を10年も長くやってこれたのはなぜですか?

 

「農家さんたちが好きだから!皆本当に優しい。トマトしている人は皆フレンドリーやね。農家さんはトマトを収穫して、選果場に持ってきて、「あとはよろしくね」って私たちにバトンタッチしてくれるんやけど、コミュニケーションも頻繁に取っているから、お互いに信頼関係も築けているし、仕事はやりやすい環境やね。

仕事したあとは、『トマト農家の皆さん儲かったかなぁ?』って気にかけてもいる。

自然相手に1年間頑張っておいしいトマトを作ってくれてはるから、やっぱり最終的には農家さんに儲かってほしいよね。そのためにも私たちの選果の仕事はとても大切なんや。

 

曽爾高原トマトをお客さまへ届ける、橋渡し役

8件の農家さんが作る曽爾のトマト。

トマトそのものでの販売はもちろん、規格外の出荷できないトマトなどは村の加工所でトマトソースなどに製品化され、県内外のショップで販売されています。

そのトマトたちの行く末を選別するお仕事は、農家さんにとっても、それを手に取るお客さまにとっても、責任重大なものでした。

 

農家さんの愛情と想いがぎゅっとつまった真っ赤なトマトを、「美味しい」と言ってくれるお客さまのもとへしっかり届ける。

そんな、「トマトの橋渡し役」というのが、今回の求人の要なのではないでしょうか。

 

トマトをめぐるたくさんの愛と信頼があるんだと知ったうえで食べる曽爾のトマトは、格別に美味しいです。

 

毎年夏の時期にしか訪れない、農家さんとお客さまをトマトで繋ぐ機会。

そんなお仕事を、曽爾村でしてみませんか。

募集要項

募集終了