奥田さんと二人三脚で森林組合を支えている辻さんからもお話を伺いました。
───辻さんはどういった経緯で曽爾村森林組合に入社されたのですか。
「ブライダル業界のお仕事や、製薬会社の総務、税理士事務所にも勤めたのですが、いろいろ疲れてしまって…。もう少しゆっくり働きたいなぁと思っていたところ、ドライブやツーリングでよく来ていた曽爾村で森林組合の求人に出会いました。当時の面接官だった奥田さんの金髪には驚いたのですが(笑)、すごく丁寧にお話ししてくださって心地よかったんですよね。」
───入社して約1年とお聞きしましたが、実際に働いてみてどうでしたか。
「奥田さんの柔らかい人柄のおかげで、お仕事をやりやすくしてもらっていますね。奥田さんが1人で組合を回していた時期もあり、森林組合の仕事全体を網羅してくださっているんです。総務課のこともなんでも聞けるのがありがたいです。あとは、総務課のお仕事に留まらず、外作業のお手伝いをやってみたいなと思っていたら、奥田さんは『女性にはつらいと思うよ』などと線を引かずに、『やってみる?』と挑戦させてもらえて、すごく嬉しかったですね。」
───いろいろ挑戦させてもらえる環境はとてもやりがいがありそうですね。辻さんから見て、奥田さんはどんな方だと感じていますか。
「すごく気遣いが細やかな方ですね。山に入るときに『そろそろマムシがいる時期やから足元に気を付けや』『服にマダニ付いてないか見いや』とか、きめ細かにアドバイスしてくださるんです。村の人からも『奥田君こないだ見かけたで』『奥田君やから任せられるねん』というお声をよくいただくんですが、細やかな気遣いを誰に対してもされていることが、組合員さんや役場の方々からの信頼につながっているんだと思います。」
───新たに入社される方も、奥田さんのような方にお仕事を教えていただくのは心強そうですね。実際には、どんな方が森林組合に向いていると思いますか。
「先入観で嫌だと思ってしまうより、一緒に行動できる人がいいかなと思います。例えば、『山と漆プロジェクト』でいうと『漆』という言葉だけで『かぶれそうで嫌だ』と思ってしまう方がいるんですよね。でも実際に作業するときは、手袋を二重につけるなど、対策をしっかりして作業に臨んでいます。なので、どんどん挑戦するタイプの人の方が向いているかもしれないです。」
───辻さんの森林組合に対する想いをぜひ聞かせてください。
「現実にあるもどかしさを何とかしたい思いはありますね。組合員さんの中にも自分の山がどこからどこまでの範囲かわからない、そもそも山に関心がないという方々が実はたくさんいらっしゃるんです。今よりも、さらに相談しやすい組合の雰囲気を作り、『眠ったままになっている山でもこんな風に活用することができますよ』『今こんな風に山を手入れしたら受け継がれるご家族の方も楽ですよ』といった提案がたくさんできたらいいなと思っています。」
───最後に、お二人から未来の仲間に向けてメッセージをお願いします!
辻「難しく考えずに、毎日楽しむ気持ちをもって日々を過ごすことができる方やったら、安心して仲間に加わっていただけると思います。」
奥田「僕は、この村の放置された山林をどうにかしたいって気持ちがあるんです。そして、組合員さんから『ありがとう』って感謝されるとやっぱり嬉しいんです。ぜひ一緒に曽爾村の山林を守り、その嬉しさを分かち合えたらなと思います。」
普段、曽爾村で生活している中で、何気なく村の山に囲まれた美しい景色を楽しんでいた筆者でしたが、この美しい景色を守ろうとしている方々の陰ながらの努力があってこそだったんだな、ということを取材を通して実感した一日となりました。
曽爾村の山林を守りたい、いろんな人を笑顔にするために働きたい、そんな想いをお持ちの方は、ぜひご応募ください。