曽爾村産の野菜・加工品を通して行き交う人々を繋ぐ販売管理のお仕事
業種
作業スタッフ
募集期間:
2024.08.06~
曽爾村役場の道路向かい、ちょっとした小上がりの坂を登っていくと『そにのわの台所katte』(以下、『katte』)があります。
───食を起点に人と人とを繋ぐ場所。
そして曽爾村の食を未来へと繋いでゆく場所。
そんな「食」への想いが込められたkatteは、商品を製造することができるシェアキッチンの機能を軸とした、「食」に関する多機能拠点。
食品の加工のためにやってくる人。
katteのオリジナル商品や新鮮な野菜を購入するためにやってくる人。
自身が作った野菜を納品するためにやってくる人…。
katteには日々、曽爾村の「食」に関わる誰かしらの姿があります。
今回はそんなkatteの日々の業務を支えるアルバイト募集のお話です。
そにのわの台所katteの成り立ち
katteスタッフの森岡さん・出口さん、曽爾村役場(以下「役場」)の木治さん、一般社団法人曽爾村農林業公社(以下「農林業公社」)の髙松さん(役場から出向中)のお三方にお集まりいただき、今回のkatteのアルバイト業務に関するお話を伺いました。
───katteでアルバイトを募集するとのことですが、katteのスタッフさんのみならず、役場や農林業公社の方々も関わりがある施設なのでしょうか?
木治(役場)
「そうなんです。katteは主にシェアキッチンとショップ機能を兼ね備えた施設なのですが、シェアキッチンの貸出業務や施設自体の管理は役場が担っており、ショップで販売される商品の製造に関わる仕入れ・販売管理業務は農林業公社が関わっています。」
───なるほど!今回アルバイトを募集されるのは、役場のシェアキッチン業務と、農林業公社の販売管理業務のどちらになるのでしょうか?
髙松(農林業公社)
「仕入れ・販売管理業務のサポートをしていただくアルバイトを募集します。ただ、シェアキッチン業務と仕入れ・販売管理業務はそれぞれ別分野の領域ではあるのですが、同じ『katte』という施設内で行われている取組みになりますので、日々時間を共にすることも多いです。なので、今回募集するアルバイトの仕事内容のみならず、まずはkatte全体の取組みを知っていただくのが良いかもしれませんね。」
───そうですね。それでは、katteの成り立ちからまずは教えてください。
木治
「katteは令和2年7月に農産物加工所をリノベーションしてオープンしました。この施設はもともと、蕗の佃煮や桑の実ジュースを製造する農産物加工所として昭和63年からある施設になります。しかし高齢化に伴ってしばらく機能していなかった時期があるんです。一時期は、一般財団法人曽爾村観光振興公社(以下「観光振興公社」)に施設を貸し出してアイスキャンデーの製造等を行っていた時期もあるのですが、その後に施設が役場に戻ってくるタイミングで『シェアキッチンに改修しよう』という動きになりました。」
───どうしていきなり「シェアキッチン」の計画が持ち上がったのでしょうか?
髙松
「これまでは役場・観光振興公社しか使えない施設だったのですが、村の人から『ここを使って加工品を作りたい』という意見や、移住をして農業をやられる人からも『自分の野菜で加工品を作りたい』というお声を多くいただいたこともあって、村の人が自由に使える施設にしたいと思ったことがきっかけです。」
───地域の方々の意見からシェアキッチンのアイデアが生まれたのですね。
「そうですね。その後も村民さんとの意見交換の場を複数回設けて『自分が使うならこんな施設がいい』という意見を集約し、実際にどんな形のシェアキッチンにしていくかを検討していきました。また、村民さんだけでなく県外でシェアキッチンをやられている方にもアドバイザーとして来ていただき、現場のノウハウを参考にしながら、新しい製造許可の申請や施設の間取り、そして導入すべき機械などを、関係者の皆さんの意見をもとに構想していきました。」
───役場の方と地域の皆さんが一体となって創り上げていったのですね。新しい製造許可とはどんな内容が追加されたのでしょうか?
「昭和63年から農産物加工所として機能していた当初より漬物・惣菜の製造許可があり、その後、清涼飲料水・アイスキャンデーの製造許可が追加されました。これらの従来の製造許可を継続申請しつつも、村民さんから意見が出た、菓子製造・パン・缶詰・ビン詰め食品の製造許可を新たに申請しました。」
───村の施設ではありますが、村民さんや外部の方の意見をたくさん集約して今のkatteが出来上がっていると思うと、当時意見交換の場におられた村民さんも喜んだのではないでしょうか?
「そうですね。役場だけで考えてしまっていたら『はい、完成したので利用してくださいね』で終わってしまっていたかもしれません。しかし移住者も含む村民さんの意見をたくさん集約することで、『シェアキッチンを作るだけではなく、ここで加工品を製造する人の商品販売もサポートできる空間』というkatteの根幹となるコンセプトまで創れたんです。意見交換の場に参加してくださっていた方々は皆、この施設が出来たら使ってくれるであろう人が大半だったので、皆さんが自分事化してkatteを創り上げることができ、オープンした今でも拓かれた場所になったと思います。」
───実際に、シェアキッチンは色んな方に利用していただけているのでしょうか?
森岡(katte)
「katteができた令和元年から令和5年までに、約50人の方がシェアキッチンの利用登録をされていました。しかし令和5年末に食品衛生・施設管理の観点から利用基準を厳しくし、現在は20~30人の方が利用登録をされていますね。基準を高くしたことで利用登録者の属性も変わり、『ちゃんとした物を作りたい』という思いを持っている方がシェアキッチンを活用されています。意外と村外の方のご利用も多いんですよ。」
森岡さんはkatteのなかでも「シェアキッチンの貸出業務」に付随する、調理補助・商品製造の業務を担当されており、自身も曽爾村への移住者。
タイから曽爾村へ移住したオングさん(愛称)とともに、日々シェアキッチンを利用されるお客様を意識して、「こんなんやってみたら良いかもね」と、女性ならではの観点を織り交ぜながら楽しく意見を出しあって業務を担当されているのだとか。
katteの取組みと主な業務内容
───シェアキッチンを軸にした施設ではありますが、ショップ機能があったり、定期的にマルシェを開催したりしていますよね?katte全体の取組みについて教えてください。
木治
「シェアキッチンの貸出、オリジナル商品の製造、食文化・地域資源の継承、新規就農者・高齢農家や加工グループのサポート、食の創業支援、ショップ運営、マルシェ・オンラインストア等、多岐に渡る「食」に関わる取組みを行っています。
森岡さんやオングさんは、シェアキッチンの貸出、katteオリジナル商品の製造とそれに付随する調理補助等を役場から業務としてお願いしている形になります。」
───今回募集されるのは農林業公社の仕入れ・販売管理業務のサポートでしたっけ?
髙松
「そうです。農林業公社では村内の農家さんの野菜・お米の販促を支援する事業を行っているのですが、その取組みの一環で、曽爾村産の野菜と加工品を定期的にお客様へお送りする『そにのわ便』とオンラインショップの運営、村の旬な野菜を販売する『そにのわマルシェ』をkatteで開催しており、これらの業務を担当している出口さんのサポートをしていただくアルバイトを募集したいと考えています。」
───出口さんが担当されている具体的な仕事内容について教えてください。
出口
「『そにのわ便』でお客様へ販売する野菜の仕入れ、仕入れた商品の梱包作業、商品の販促です。販促はお客様への商品発送はもちろん、オンラインや村内外で商品を取り扱う店舗の在庫チェックも含まれます。あとは定期的にkatteで開催される『そにのわマルシェ』の企画運営もやっています。」
───それぞれ詳しくお伺いしても良いですか?
「『そにのわ便』は、曽爾村の季節のお野菜と加工品をセットにして発送する定期便です。月1回か月2回のどちらかをお客さまに選んでいただき、その時に一番美味しい旬のお野菜と加工品をお送りしています。
奈良県内や近畿圏内に在住で、2~3年継続してくれているリピーターの方がほとんどで、現在は20人程度の方から定期購入をしていただいています。」
───『そにのわ便』に付随する具体的な業務内容はどんなものがあるのでしょうか?
「①農家さんへの発注②配送先伝票の準備③手書きお便りの作成④野菜のラインナップ作成⑤梱包⑥発送です。『そにのわ便』は金曜日にお客様の元へ届く仕組みなので、定期便発送週の月曜日~水曜日までに①~④までを行い、木曜日に⑤⑥を行っています。
定期便以外にも、単品やセット商品を購入できるオンラインショップも運営しているので、注文が入ったらその都度お客さまへ受付完了メールをお送りし、定期便と同じ流れで発送作業を行います。オンラインショップの単品注文も、毎週同じ商品を注文してくださる方がいらっしゃるんですよ。」
───リピーターさんが多い理由ってあるのでしょうか?
「曽爾村という高原地帯特有の気候で育てられたお野菜が多いので、『味の濃さが他と全然違う』というお声をよくいただきます。農家さんのファンという方も多いです。
あとは、定期便という特性を踏まえ、以前送ったものとは異なるラインナップにしたり、季節や行事を踏まえたセット内容を考えるようにしています。月1回の方はシンプルなんですが、月2回の方に関しては、商品ラインナップの振り分けを計画的に意識しなければならず、農林業公社の方や農家さんに旬の野菜を日々ヒアリングするように心がけています。定期便だからこそお客さまが飽きないようにしたい、という思いがあります。」
───お送りするラインナップに出口さんなりのこだわりや思いやりが詰まっているんですね。手書きのお便りも作成しているとのことですが…どんな内容ですか?
「今まではパソコンで作ったお便りを同封していたのですが、今年から『もっと心を込めたい!』と思って…(笑)。手書きで農家さんの紹介やkatteスタッフからのメッセージを綴っています。発送する商品ラインナップにこだわりを持つのはもちろんですが、こういった細部にまで心を込めてこだわりたいんです。」
───曽爾村の旬な野菜が届くだけでも嬉しいのに、こんな手書きのお便りも付いていたら親近感が湧くし、何より心が温まりますよね。毎月の定期便が楽しみになりそう。
販促の方はどんなことをされているのでしょうか?
「村内外の店舗での販売管理と、『そにのわマルシェ』の運営です。村外の店舗では近畿圏内だけでなく東京にも販路を拡大してkatteのオリジナル商品を販売しており、常設販売もあれば、期間限定のポップアップやイベント出店もあります。
令和5年には、雑誌『an・an』の『からだにいいもの大賞2023』の特集コーナーにkatteの商品が選ばれて掲載をしていただいたり、地域の優良なふるさと食品と生産者を表彰する『優良ふるさと食品中央コンクール』でも賞をいただけました。」
───奈良・近畿に留まらず東京まで販路を拡大されていて、大活躍ですね。
一方、村内での販促にあたるのが「そにのわマルシェ」の運営でしょうか?
「そうですね。『そにのわマルシェ』は月1回katteで開催していて、地域の採れたて野菜の販売やフードメニューの提供をしています。このマルシェは外部向けのイベントというよりも、村内の地域の方々に向けたマルシェとして企画が始まったのですが、より多くの地域の皆さんに楽しんでもらうために、いくつかの集落を周る移動マルシェを今年から始めました。足腰が悪かったり、移動手段が無いお年寄りの方もいらっしゃるので、移動マルシェをすることで『ちょうどこの野菜が欲しかってん!』と喜んでもらえています。」
「食」を通して行き交う人々を繋ぐ役割
───kattteの仕入れ・販売管理業務を通して農家さん・村内外のお客さま、たくさんの人と繋がっている出口さんですが、この仕事をしていて特に印象に残っていることはありますか?
「お客さまからの反応はやっぱりどれも印象に残っていますね。定期便のお客さまが商品の感想をメールで送ってくれるんです。『めずらしい野菜や普段手に取らない野菜が知れる』や『今度からスーパーでも見かけたら手に取ってみようと思う』という野菜に対する反応から、『家族がこの野菜を気に入ってます』『こういう料理を作ってみました』など、定期便が届いたその後の様子を写真付きで送ってくださる方もいるんです。」
───定期便1回1回に出口さんのこだわりや想いの詰まったお便りがあるからこそ、お客さまも反応してくれるのだと思います。面識もない定期便のお客さまと実際に会える機会はあるのでしょうか?
「以前外部のショップでイベントをやっていた時に、実際に定期便をやっていた方と会えたことがあります。その方は当時定期便を解約されていたのですが、『野菜だけのプランがあればなぁ』という意見をいただけたんです。その貴重かつリアルなお声を参考に、実際に野菜だけのプランも作ったところ、新規のお客さまが増えたんですよね。
あとは定期便をずっとしてくれている人が実際に曽爾村に来てくださったり、逆にkatteで商品を初めて買って気に入ってくれた方が定期便を始めたり…。katteが良い拠点となっています。」
───どんな時にやりがいや楽しさを感じますか?
「やっぱりお客さまと繋がる瞬間が楽しいですね。私自身が曽爾村出身なので、katteの商品やサービスを通じて曽爾村のことを知ってもらったり、実際に足を運んでくださったり、農家さんのファンになっていただけたり…。そんな瞬間が一番のやりがいです。」
───最後に、出口さんと髙松さんそれぞれから、この仕事に興味を持ってくださっている方々へメッセージをお願いします。
出口
「一人ひとりのお客様が手に取る、農家さんが育ててくれた大切なお野菜や加工品を私たちは取り扱います。商品を手に取って喜んでいるお客さまのことを想像しながら、想いを込めて丁寧に作業ができ、曽爾村に対する誇りや愛着を持って一緒に取り組んでいきたいです!」
髙松
「katteは食を通して人が行き交う場です。その場に自分も加わりたい、役に立ちたいという想いで来ていただけたらとても嬉しいです。基本は出口さんのサポートをしていただくアルバイト採用となりますが、やる気のある方は担当業務として今後を見据えた働き方もしていただけます。」
食を通して地域を盛り上げたい方、誰かと誰かの橋渡し役になるのが好きな方、是非応募してみてはいかがでしょうか。
募集要項
募集終了