郵便物だけではなく、地域の安全や心の安らぎをも届けるお仕事
業種
集配外務・窓口業務
募集期間:
2024.08.08~
曽爾村の「葛(かずら)」という集落に、「曽爾郵便局」があります。
郵便局の象徴ともいえる『丸形ポスト』が凛とした装いで立ち、入り口のドア付近には、バスを待つ人のために置かれたのであろうベンチがあり、そこにちょこんと村民さんが座っています。
「曽爾郵便局さん、いつ見ても綺麗な外観だなぁ」
「あそこのベンチ、色んな人が座っているなぁ」
車で村内を移動中、曽爾郵便局の前を通過する度に、そんなことをついつい考えてしまう筆者ですが、その理由は、曽爾郵便局が持っている「想い」にあったのだと、今回の取材を通して実感しました。
───郵便局の仕事は、郵便物をただ届けたり受け取ったりする仕事。
正直、そんな印象を抱いている人は多いのではないでしょうか。
実際に筆者もそのうちの1人でしたが、曽爾郵便局の方々からお話を伺って、その固定観念が覆されたのです。
曽爾郵便局では一体どんな人たちが、どんな想いを持って仕事をしているのか?
今回は「郵便物を届けるだけではない」人々のお話です。
郵便局って、そもそもどんな組織なの?
今回お話を伺うのは、曽爾郵便局長の今西さん。
「郵便局長」と聞くと、普段なかなか接することのない役職の方のように思えますが、人口1,300人弱の小さな村では、意外と距離感の近い存在。
そんな今西さんに、「そもそも郵便局とは」ということを、ご自身のキャリア歴と合わせてご説明いただきました。
───いつも大変お世話になっております!曽爾郵便局さんの取材をさせていただきますが、そもそも今西さんのこと、知っているようで全然知らなくて。(笑)
今までどんなキャリアを過ごされてきたのですか?
「実は、農業高校を卒業してからずっと郵便局勤務です。実家でやっていた家業の農業を手伝ったりはしていましたが、他の仕事は経験したことがなく、ずっと郵便局一筋です。」
───そうなんですね。ご実家が農業をされていたとのことですが、出身はどちらですか?
「曽爾村の隣にある宇陀市の室生です。もともと実家は椎茸農家だったんです。家業を継ぐつもりで農業高校に通っていたのですが、中国産の輸入が進んでなかなか事業が難しくなったり、山間に所有していた農地も規模が小さくて、お米や野菜で稼ぐには相当しんどい状況で…。」
───そこからどういった経緯で郵便局に?
「当時の郵便局員は、まだ公務員の時代でした。なので、公務員として働きながら、土日や有休を使って農業をしようと思い、郵便局に勤めたのがきっかけですね。入社当初は『特定郵便局』と呼ばれる桜井市にある『桜井忍阪(おっさか)郵便局』に勤務していました。」
───特定郵便局って、何ですか?
「簡単に言うと小さい郵便局のことです。お客さまからの荷物・郵便の受け取りのみを行い、配達は行わないんです。いわゆる窓口専門の局ですね。曽爾村内だと、『山粕郵便局』がそれにあたります。一方で曽爾郵便局は、窓口業務と配達業務も行います。」
───郵便局にもそういった区分けがあることを知らなかったです。
「普段皆さんはお住まいの地域の郵便局くらいしか接点がないと思いますが、その地域の郵便局も、大きな組織の1部分なんですよ。本社⇒近畿支社⇒地区連絡会⇒部会⇒郵便局、という風になっていて、局のなかでも規模の小さい窓口局から、郵便・窓口・金融等を扱う規模の大きい局まで、編成がいくつかに分かれています。」
───管轄されている地区連絡会や部会があるんですね。それぞれ連携体制も整っているのでしょうか?
「そうですね。部会に管轄される地域の局同士の交流もあります。配達員が足りていないときは、局をまたいで応援することもあるんですよ。」
───日本全国の方々へ滞りなく郵便物をお届けするお仕事ですもんね…。組織的にきっちりと階層が分かれていたり、部会内の局同士で交流があるのも納得です。
「ご存知かとは思いますが、郵便局は郵便配達だけではなく、保険や貯金など金融を扱う業務もあり、規模の大きい郵便局ではそれぞれが特定の業務担当として、割り振られた業務を専門的に行います。私自身、最初に配属された特定郵便局を経て次に配属されたのが、規模の大きい『桜井郵便局』で、そこでは保険や貯金を担当していました。そのタイミングで民営化を迎え、公務員ではなくなりました(笑)。」
───ということは、当初思い描いていた農業との兼業も難しくなりましたね(笑)。
「『あれ、思ってたんと違う。』と思いましたね(笑)。
ですが、民営化したことで郵便局もビジネスとして儲からないといけなくなります。郵便物や荷物の配達などの郵便・物流事業だけではなく、金融系の事業でも利益を追求する必要がありました。そのため、新しい取組みが徐々に増え、投資事業などにも携わっていた時期だったので、20代という若さもあり、どんどん色んなことにチャレンジしていきましたね。」
───そこから、現在の曽爾郵便局長に至るまではどんな経緯だったのでしょうか?
「桜井郵便局から大和榛原郵便局へ異動し、引き続き金融系を担当していました。そのころは、大きい郵便局と小さい郵便局同士で交流する機会もなかなか無くて。金融も配達も、大きい局も小さい局も、どちらも同じ『窓口業務』をやっているのだから、窓口部門だけでも交流しよう、という動きが当時生まれつつあり、地区連絡会や部会に所属する局の窓口社員さんらと交流するようになったんです。
そこから『大宇陀郵便局』で課長代理の役職に就き、その後、曽爾郵便局長となりました。」
───まさに郵便局一筋のキャリアですね。今回募集するお仕事も、こんな感じで色々な業務を経験したり、様々な局に異動していく内容なのでしょうか…?
「今回募集させていただくのはアルバイトなので、局異動や担当業務の変更は無いですからご安心ください(笑)。先にも触れたとおり、異動という形ではなく、応援で他の局へ行ってもらうとことはありますけど。また、正社員を目指す方向けに、条件はありますが、毎年夏~秋にかけて正社員登用試験もありますよ。」
今西さんのキャリア遍歴を軸に、「郵便局」という組織について色々なお話を伺いましたが、「どんな組織で自身が働くことになるのか」という点を少しでも把握しておくことは、雇用形態に捉われず大切なことなのかもしれません。
求人する主な仕事内容
───今回募集されるのはアルバイトさんですね!どんなお仕事をすることになるのでしょうか?
「集荷・配達を担当する『集配外務』と、窓口対応を担当する『窓口業務』の2つです。集配外務に関しては、多くの郵便局で人材が不足していて、ご高齢の方も多く、なるべく多くの人員を確保して、それぞれの局同士で人を補っていくようにしています。」
───部会内同士で人を補い合うこともあると、先ほどご説明いただきましたね。そもそもアルバイトさんの雇用はどこがされることになるのでしょうか?
「アルバイトの方は原則として局単位での雇用になります。ただ先ほどからも触れている通り、応援という形で他局へ行っていただく場合や、場合により雇用元の郵便局を変更する場合もあります。もちろん、そういった場合は事前に本人の希望をお伺いさせていただきます。」
───しっかり本人の希望も聞いていただけるんですね。
「もちろんです。郵便局の仕事って、年末年始等の繁忙期には非常に忙しく大変な印象を持たれている方も多いと思います。しかし、アルバイトで入っていただく分には、福利厚生や臨時手当もしっかりとあるので、世間が思っている以上に働きやすいんですよ。」
───アルバイト雇用でも福利厚生が充実しているのはとても嬉しいですね。ただ、慣れない地域で集配業務をすることに、最初は不安を覚える方も多いのではないでしょうか…?
「大体の方が初心者からのスタートなのでご安心ください。最初のうちは、先輩と一緒にバイクを運転しながら集配ルートを指導してもらえます。まず先輩社員の後ろについて走り、次は自分が先に走って、後ろから先輩社員に間違いないか見守ってもらいます。そうしてルートを覚えたら、次は単独で配達してもらいますが、最後は先輩社員が配達の進捗状況を確認の上、適切に応援体制を構築するシステムとなってます。
このように、最初は先輩と一緒に行動していただきながら、ルートと集配の仕事を覚えていただきます。」
福利厚生や臨時手当、しっかりとしたOJTもしていただけるとのことで、この仕事を魅力的に感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、郵便局の集配外務は、お客さまの大切な郵便・荷物と重要な個人情報を扱う責任重大なお仕事です。
一体どんな流れで仕事をされておられるのか、詳しく教えていただきました。
■集配外務の仕事の流れ(その日の物量により、終了時間等に変動があります)
⑴ 朝、その日に配達する郵便・荷物が大和榛原郵便局から届く
⑵ 届いた荷物を追跡システムに登録する
⑶ 荷物ごとに担当者を振り分ける(村内のエリア毎に振り分けます)
(大きい荷物の配達や、集荷のみの担当者もいます)
⑷ 配達の順番・ルートの区分けをする(データ化されています)
⑸ 午前中に配達・集荷を完了させる
⑹ 14:30~15:00に昼便が大和榛原郵便局から到着
(量は朝便より少なく、翌日の普通郵便も含まれます)
⑺ 届いた荷物を追跡システムに登録する
⑻ 振り分け後、午前中の残りと合わせて配達
⑼ 16時頃までには局に戻る
⑽ 退勤
「運送業法により、4時間以上の連続乗車は禁止されているので、午前・午後ともに出発してから4時間以内には局に戻り、休憩をしていただきます。物量が少なく、時間に余裕がある場合はカタログ商品などの営業をしてもらうこともありますね。
また、配達に付随するシステム入力、不在対応、住所間違い対応なども業務の一つです。最初から全部をお任せすることはありませんが、習熟度合いをみながら、徐々にできる業務の範囲を広げていっていただくことになります。」
■窓口業務の仕事の流れ
───集配外務の他に窓口業務の求人も募集されるとのことですが、窓口では主にどのような仕事内容になるのでしょうか?
「金融機関の窓口と似たようなものだとイメージいただければ。朝9時から受付開始で、金融は16時まで、郵便は17時まで対応しています。基本的にはお客さまのご要望にお応えしていく仕事内容です。」
───窓口業務をするにあたって、必要な専門知識はありますか?
「金融窓口で保険や証券販売を取り扱うので、正社員の場合は資格が必要ですが、アルバイトさんに資格を必須で求めることはありません。ただ、こういった金融系の照会件数はさほど多くありません。」
───金融系の問い合わせは少ないんですね。逆に、どんな問い合わせが一番多いのでしょうか?
「貯金(振込・振替)対応が一番多く、1日平均15~20人くらい対応させていただきます。事務内容もそんなに難しくないので、すぐ覚えていただけるかと思いますよ。
これ以外にも、問い合わせ内容に応えるだけではなく、お客さまの相談事をお聞きして解決策を一緒に考えてあげることも窓口業務の一環だと考えています。そのため、人と話すのが好きな方にはとても向いているお仕事だと思います。」
小さい村ならではの、郵便局という存在
───人口1,300人弱の小さな村ですが、そんな地域における郵便局の存在意義って何ですか?
「先ほども『お客さまの相談ごとに対しての解決策を一緒に考えたい』とお話ししましたが、ただ郵便物の集配をしたり、窓口対応をするだけではなく、村民さんの相談ごとを聞いたり、郵便局として何か手伝えることはないか、一緒に考えていける存在になりたいと、ずっと思っているんです。村とも包括連携協定を結ばせてもらっており、不法投棄の見回りや道路状況の報告等を配達員経由でさせてもらっています。」
───私たちの知らないところで地域の景観や安全を守る役の一端を担っていただいていたんですね。「村民さんの相談ごと」は具体的にどんな内容ですか?
「ご高齢の方も多いので、振り込め詐欺等の防犯に関するお話が多いですね。誰に相談したら良いか分からないという方もいらっしゃると思うんです。ですが、曽爾郵便局としては、「郵便」という分野に捉われず、村民さんの力になってあげたいという思いがありますので、ただ郵便局内で待っているだけではなく、各集落や役場で行われる『100歳体操』などのイベントに顔を出したりするなど、相談しやすい関係性を築く意識をしています。」
───郵便局の前のベンチにも、人が座っているのをよく目にします。
「そうですね。曽爾郵便局の目の前はバス停なんですけど、バスが来るまでの間、ベンチに座って待ってくださる方々が多く、夏の暑い時期や冬の寒さが厳しい日なんかは、バスが到着するまでの間、村民さんや観光客の方々を局内に受け入れたりもしているんですよ。
そういった方々が退屈しないように、『地域貢献コーナー』と称した地域に関する冊子を配架するスペースも作っています。地域の色んな属性の人が集う場所なので、『ここに来たら何かしてくれるやろ』と思ってもらえる場所を目指しています。」
───いつ来ても明るく優しい雰囲気で受け止めてくださるので、実は私も曽爾郵便局さんに来る度、ホッとしています。集配担当の方が心掛けておられることも何かあるんですか?
「窓口をしていると、村民さんから『あの人が配達に来てくれたら嬉しいねん』というお声をいただくこともあるんですよ。村には一人暮らしをしている村民さんも多いので、配達や集荷のタイミングでちょっとした会話をしたり、一言添えたり、そういった些細な心掛けに喜んでいただけているようです。
曽爾郵便局の集配担当の社員はキャラクターもバックボーンも年齢も様々です。いい意味で和気あいあいとしすぎておらず、自分の仕事を淡々とやっていただいています。しかし、お客さまからのそういったお声を聞くと、集配担当者それぞれが郵便局の顔を背負って走っているのだな、それぞれの楽しさややりがいを持ってくれているのだろうな、と感じます。新しく来ていただける方にも、『曽爾郵便局の代表なんだ』という思いを持ちながら集配外務にあたっていただきたいですね。」
村内を車で移動中、ついつい見てしまう曽爾郵便局。
その綺麗に保たれた外観も、バスを待つ人のために設置されているベンチも、すべては曽爾郵便局の「いつでも相談しに来てほしい」「村民さんに頼ってもらえる存在になりたい」という、曽爾郵便局で働く人々の思いの表れなのかもしれません。
───郵便局の仕事は、郵便物をただ届けたり受け取ったりする仕事。
そんな固定観念を覆す想いを持って、曽爾郵便局は今日も人々のHUB(ハブ)となる場所を目指し、人々の元へ郵便物と心の安らぎを、地域に安全を届けてくれています。
「郵便」という媒体を通して地域の方々に貢献したい・役に立つ仕事がしたいとお考えの方、村民さんとの距離がとっても近い「郵便局で働く」という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
ご応募お待ちしております。
募集要項
企業名
曽爾郵便局
募集職種
集配外務・窓口業務
雇用形態
アルバイト(正社員登用制度あり)
給与
【集配外務】
・時給1,040円~
・昇給機会は年2回
【窓口業務】
・時給960円~
・昇給機会は年2回
福利厚生
・各種社会保険あり(雇用条件による)
・駐車場あり
・雇用6か月経過後より有給休暇あり
・当社規定による交通費支給
・夏期・年末臨時手当あり
仕事内容
【集配外務】
・バイク、軽四輪による配達、集荷
・配達及び集荷に付随する業務
・カタログ商品等の営業
【窓口業務】
・郵便物、荷物の引受
・ゆうちょ銀行、かんぽ生命からの委託業務取扱
・お客さまの困りごとに対する相談
勤務地
奈良県宇陀郡曽爾村葛829-2
勤務時間
【集配外務】
・1日6時間の勤務(業務量により残業あり)
・休憩時間は業務量により変動(業務途中で1時間)
・土日祝日勤務あり
【窓口業務】
・8:20~17:20
・休憩は交代で取得(業務途中で1時間)
休日休暇
【集配外務】
・4週20勤制(変則勤務)
・出勤日については要相談、年末年始は基本的に出勤
・勤務実績に応じて、有給休暇、病気休暇、特別休暇等あり
【窓口業務】
・週休2日制
・月~金のうち、4日間の勤務(応相談)
・勤務実績に応じて、有給休暇、病気休暇、特別休暇等あり
応募資格
【集配外務】
・要普通免許または自動二輪免許(AT限定免許可)
・自動二輪免許取得者大歓迎
【窓口業務】
・特にありませんが、金融関係の資格取得者は歓迎いたします
選考基準
【集配外務】
・経験者歓迎
・運転未経験者は研修あり
【窓口業務】
・金融業務経験者歓迎
求める人物像
【集配外務】
・体力に自信のある方
・真面目にコツコツ仕事の出来る方
・専用の端末を使用します。機械類の扱いが得意な方大歓迎!
【窓口業務】
・各種端末機を使用します。機械類の扱いが得意な方歓迎!
・明るく接客ができる方、営業が好きな方
採用予定人数
若干名
選考プロセス
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