曽爾村の求人情報

オール曽爾産のクラフト・プチウイスキー蒸留所の立ち上げに挑戦

業種

総合職

募集期間:

2022.12.01~

曽爾村では近年、本場ドイツのマイスターを招聘して作り上げた『曽爾高原ビール』や、特産の米を蒸留してつくる米焼酎『鎧嶽』など、お酒を醸す文化が拡がってきています。

 

今回紹介するのは、いろんなお酒の中でも最近注目が上がっているジャパニーズ・ウイスキーを製造する仕事。

 

株式会社YOSHINO SPIRITSが、曽爾村に新しく立ち上げる蒸留所で働く人を募集します。

「前職でお酒づくりに携わっておられた方に来ていただけると嬉しいですが、お酒づくりに興味のある方であれば、だれでもウェルカムです!」

そう話してくれたのは、株式会社YOSHINO SPIRITSでCEO(最高経営責任者)を務めるトルコ出身のシャカール・ジェムさん。

お酒づくりや、新しい商品づくりに興味がある方にも、ぜひ読んでほしいです。

 

古民家の蒸留所

曽爾村の西側に位置する集落「山粕地区」。かつては伊勢本街道の宿場としてにぎわいを見せた集落で、現在では「めだか街道」として珍しいメダカを見ることができると話題になっています。

 

この「山粕地区」を舞台として、ウイスキー蒸留所を新しくつくるプロジェクトが始まります。

曽爾村へは、最寄り駅の榛原駅からコミュニティバス『奥宇陀わくわくバス』にのると、どんどん山奥の方に入っていきます。

 

『山粕東口』の停留所を降りて、歩くこと約3分、ここがこれからウイスキー蒸留所に生まれ変わる古民家です。

なんと古民家を改修して、蒸留所にするそうです。そして、その蒸留所に据え付ける蒸留機は既に手配されておられます。

 

今回募集するのは、この蒸留所の立ち上げメンバー。

 

蒸留所の設計・施工をはじめ、製造プロセス全般を考え、その後の蒸留所稼働に向けて力を注いでいただく方を募集します。中長期的には、製造プロセスに携わるメンバーをさらに募集していく中で、蒸留所全体を取り仕切る役割を期待しています。

 

いままでにないジャパニーズ・ウイスキーをつくるシゴト。なんとも楽しみです。

 

吉野杉薫るジャパニーズ・ウイスキー『神息(KAMIKI)』

今回、プロジェクトを立ち上げる会社(株式会社YOSHINO SPIRITS)は、大阪府大阪市中央区に事務所があります。

 

「株式会社YOSHINO SPIRITSは2016年に創業されました。はじめは日本のお酒を海外に輸出する商社としてはじまり、2017年には自分たちのブランドを立ち上げたんです。ジャパニーズ・ウイスキー『神息(KAMIKI)』は、日本では販売されてないんですが、いまでは世界50か国、米国では33州で販売されているんですよ。ありがたいことに、これまで酒類の国際大会で50以上の表彰をいただいてます」

 

と説明してくれたのは、CEOのシャカールさん。約20年前にトルコから来日し、はじめは兵庫・奈良・京都などで語学講師をしていましたが、同じトルコ人で酒類の輸出販売業をしていた方と出会い、その方からジャパニーズ・ウイスキー販売の協力依頼があり、それ以後様々な酒類の輸出業に携わっておられます。

―『神息(KAMIKI)』ブランド、正直、聞いたことがありません。

 

「そうですよね。ちょっとこちらを見てください。世界のお酒を品評する雑誌の一つなんですが、『神息(KAMIKI)』の評価は、かの有名な山崎のシングルモルトを超える点数がつけられているんですよ」

 

「いまは、ウイスキー生産を企画し、実際の生産は外部委託しているのですが、これから自分たちで本格的に製造していきたいんです」

 

―ちなみに、どのような“ウイスキーづくり”をされているのですか?

 

「ウイスキー大手さんでは、フレンチオークなど海外の木材を使った樽で貯蔵することが多いんですが、YOSHINO SPIRITSでは、日本の木材を使った樽を使うことで独自のテイストづくりをして差別化を図っています。『神息(KAMIKI)』だと、2年間は海外産のオーク材の樽に貯蔵し、その後、最後の1年間は吉野杉で作られた樽に移し替えて貯蔵するんですよ。さらに、桜や松の樽で3度目の貯蔵をする商品もあります」

―そんなにたくさん樽を入れ替えて貯蔵するんですね!

 

「日本の木のフレーバーをウイスキーにつけることが、当社のウイスキーの特徴なので、これから作る蒸留所では、曽爾産の樽をつくって貯蔵したいと思っています。そうすることで、曽爾の林業にも貢献できると嬉しいですね」

 

曽爾でのウイスキーづくり

―なぜ曽爾で??

 

「ウイスキーづくりには、良い水があるかことがとても大切なんです。日本酒であれば、関西圏だと伏見や灘が有名。また、サントリーさんのシングルモルトウイスキー『山崎』が作られる山崎も水が美味しい。曽爾で蒸留所を作ろうと思い立った理由は、大阪から近いということもありますが、その水の良さにありました。曽爾村には、平成の名水百選に認定された「曽爾高原湧水群」があるんですよ」

―新しい蒸留所でこれから作るウイスキーはどんな味を目指しているんでしょうか?

「2種類の製品を製造する予定をしています。自社で蒸留するウイスキーは、シングルモルトウイスキーを作る予定です。ジャパニーズ・ウイスキーの特長が出るように、偏った感じがなく、アルコール度数を感じさせずに飲みやすく、のどに残らないようなスムーズなウイスキーを作りたい。また、香りづけについても、サクラ・ヒノキ・マツの3種類くらいの違いのあるラインナップを揃えてみたいです」

 

―美味しそうですね。早く飲んでみたいです。

 

「樽で寝かせる必要があるので、実際に市販されるのは4年目以降になる予定です。ウイスキーづくりは、最初の3年間は全く売上が立ちません。ウイスキーづくりへの強い想いがないと、蒸留所設立はなかなかできないんです(苦笑)」

 

―3年間売上ゼロ!なかなかそれは厳しい道のりですね。。。

「日々の売上を作っていくため、シングルモルトの製造をやりながら、ブレンデッドウイスキーの製造も並行して進めていきます。日本と海外の原酒をブレンドして、独自のフレーバリング(香りづけ)をしたうえで、2024年1月には販売することを考えているんですよ。それに、、、」

 

―それに?

 

「曽爾産のハーブや薬草をうまく使ったクラフトジンの製造も進めて行きたいと思っているんです。ジンはこれまでカクテルを作る際のベースのお酒で、香りづけは最小限の商品が主流だったんですが、最近は香りづけがしっかりされて、そのままで楽しめるクラフトジンが人気になってきています。曽爾産のジンづくりにおいては、曽爾の米焼酎をベースにしながら、香りづけに曽爾産のハーブなど地元のいろんなものを取り込んで作っていきたいですね」

 

ここまで聞いて、ウイスキーを混ぜて売るのと、自分で蒸留所を立ち上げて作るのは、事業の難易度が全然違うのでは?と思いました。

 

―専門知識がなくても簡単に事業を始められるものなんでしょうか?

 

「今回の蒸留所設立にあたり、吉備国際大学農学部醸造学科教授の井上教授(https://researchmap.jp/read0000182)に、顧問として入っていただくことになっているんです。酒づくりは、これまでそれぞれのメーカーさんで代々製法が引き継がれ、体系的な知識として得られることがなかなか難しいのですが、井上教授はいろんな酒造メーカーに対して指導官にあたられているほどの方。普段は吉備国際大学の淡路島キャンパスで教鞭を取られているんですが、実家は曽爾村のとなりの宇陀市だったりするんですよ」

 

その道の専門家がアドバイザーがすでにいらっしゃる、ということで安心しました。

100%オール曽爾産のウイスキー

最後に話を聞いたのは、将来的な展望について。
5年先、10年先にこの蒸留所をどうしていかれたいか、シャカールさんに伺ってみました。

 

「目指しているのは、プチサイズのクラフトウイスキー蒸留所です。長い将来を見据えても、蒸留所を大きくすることは考えていません。良いウイスキー、そして特徴のあるウイスキーを作る蒸留所にしたい。生産量を上げると、どうしてもクオリティが犠牲になってしまいがちです。現在計画している規模でできることを、そして、できるだけ地元のものを使いながらウイスキーを製造していきたい。曽爾村では、これまでビールや焼酎が作られていて、村にはお酒に向いている水があると確信しています。まずは、曽爾の水を原料として使わせていただきますが、将来的には曽爾産の大麦を原料とした麦芽を使ったウイスキーづくりをしてみたいですね」

目指すのは、100%ジャパニーズ、そして、100%曽爾村。オール曽爾産のクラフト・プチ蒸留所を目指す新しい取組に心が踊りました。

 

地域を愛し、地域と共にお酒を醸す。そんなお酒づくりに携われる方がちょっぴりうらやましく感じました。

 

※撮影時は、マスクを外していただきました。

募集要項

募集終了