「冗談はさておき、ご近所付き合いが頻繁にあったり、コミュニティの団結があったり、虫がたくさん出たり…。田舎ならではの変化はたくさんありますが、それ以外は基本的に都会暮らしと変わらない印象です。
車を30分くらい運転したら、飲食店・家電量販店・大型スーパー・衣服店など、色んなお店がある三重県名張市まで行けるし、同じく車で30分くらいの榛原駅まで行ったら、電車1本で大阪まで出られるし、お買い物系では都会に住んでいた時と比較しても不便は感じないですね。
はじめての田舎暮らしで大丈夫かなぁという不安はもちろんあったけど、1ケ月くらいで基本的なことは変わらないなぁ、と気が付き始めました。」
──変わったこと、変わらないことを感じる日々のなかで、東さんが思う田舎暮らしで意外だったことは?
「大きく変わったと感じる人間関係に関しては、移住する前は『畑仕事、若いから手伝ってよ』というお声がけが頻繁にあるのかと思っていたのですが、そういうことは、意外と自分から積極的にいかないと声をかけてもらえないんですよね。
移住前のイメージ的には『あれもこれも全部参加してほしいねん』とグイグイ言われるのかと思っていたけど、実際には地域の方も気を遣ってくださっていて、敢えて無理に誘ってこないんだと思います。」
──そんな気づきがある今、これからはどんな風に曽爾で暮らしていきたいと思っていますか?
「移住して1年半で、『受け身ではダメなんだ!』と実感したので、これからは興味があることは自分から『やってみたい!参加したい!』って、どんどん発信していきたいです。
大学で発酵を学んでいたこともあり、最近は太良路で行われている『あゆみ会』というお味噌を作っている地域の会が気になっているので、いつか見学しに行けたらいいなぁと。」
──はじめての社会人経験を曽爾村で積んでいくなかで、色々な発見や繋がりを通して、この1年半とても成長しているのではないでしょうか。
「うーん、暮らしの面ではそうかもしれませんが、キャリアの面では『20代の新卒が地方でビール作り』という特殊な進路を歩んだので、同世代の都会でキャリアを積んでいる人と比べたら経験できなかった社会人経験があるなぁとは思います。
曽爾村に来たこと自体は全く後悔していませんが、これから就職・転職・移住を考えている20代の同世代に言いたいのは、『ある程度都会でキャリアを積んでから来た方が選択肢は広がるかも』ということです。
まぁ、私は新卒の時点から地域おこし協力隊も選択肢として見ていたので、根っからマイナーな進路に惹かれていたんだろうな~と思いますけどね!(笑)」
──曽爾村への移住希望者さんの年代は30代~60代まで幅広いのですが、20代での移住希望者さんは比較的少ないです。そんな貴重な20代の移住者として、感じることは?
「20代で移住して良かったと私は思っています!20代だったらまだまだ失敗もできるし、キャリアの軌道に乗り始めたり、家庭を持ち始めたりする年代と比べて飛び込みやすいので。あとは、若いと地域の方々から「孫」と思ってもらえる世代なので、今まで以上に可愛がってもらえますよ(笑)」
──最後に、年代関係なく移住を志している人々へメッセージをお願いします。
「『やらないで後悔するよりやって後悔』という言葉が移住にはぴったりかな。行動しないとそもそも何も始まらないし、それは移住した後も同じで、移住後も自ら行動しないと都会暮らしとなんら変わらない普通の暮らしになってしまいます。
私は田舎暮らしをenjoyしていますよ!悩んでいるなら、まずは行動してみてください!!」
村のおじいちゃんおばあちゃんとのエピソードトークが絶えない東さん。
地域住民さんとの経験談を話している様子は、どれも心から嬉しく楽しそうな様子で、本物の「おじいちゃんおばあちゃんと孫の日常」を日々過ごされているようでした。
曽爾村に20代で新卒入社の単身移住という、かなり特殊な道を選んだ彼女ですが、その決断当時の勢いに劣ることなく、移住後も積極的に地域の様々なコミュニティに入り込み人々と交わっていこうとする姿勢がとても印象的でした。
今後、東さんがどういう風に村のなかで存在感を出してくるのか、今からとても楽しみです。
おしまい