───石之さんは、2017年4月に地域おこし協力隊として着任され、移住されたんですよね。初めての田舎暮らしはどうでしたか。
「移住した最初のころは慣れない環境に緊張していましたね。でも、元々の性格も相まって、しんどさとかは感じずに、『こういうもんなんだ』って受け入れることができてましたね。虫や寒さは慣れますし、『冬場に水道が凍結するって面白い!』みたいな感じです。あと、曽爾村の全部が新鮮でしたね。今まで住んでいた場所と景色が違うことはもちろん、田舎ならではのご近所さん同士のコミュニケーションを間近で見れたことなど、全てを刺激的に感じていました。」
───実際に、地域おこし協力隊としては、どんな活動をされていたのでしょうか。
「『漆ぬるべ会』の活動に加わり、漆の植樹や漆を採取する漆搔きの活動を一緒にしていました。他にも、柿の葉に漆を塗った器作りのプロジェクトが始まったので、技術面や商品化に向けたサポートや、曽爾村での漆に関する活動の発信、『ねんりん舎』の管理・運営などをしていました。最初のころは、地域の方々がしてほしい仕事と私がやりたい仕事のずれを感じることもありましたが、任期の3年間を通して、そのずれをちょっとずつ調整しながらうまくやっていく感じでしたね。最終的には、お互い良い関係になれました。」
✦漆ぬるべ会:曽爾村の漆の文化を復活させるために、漆の植樹や採取に取り組んでいる団体
✦ねんりん舎:古民家を改装し2018年にオープンした曽爾村漆復興拠点施設
───地域の方々と一緒に活動する面白さはありましたか?
「身の回りにあるものを使ってなんでも作ってしまうことに驚きましたね。私自身、工芸的な漆塗りの知識はあったんですけれど、植物としての漆を育てることは初めてでしたし、『漆ぬるべ会』のメンバーも漆の育て方や採取に関して手探り状態からスタートしたんです。街に住んでいた私にとっては、何から始めたらよいかわからず、想像のつかない作業でした。でも、おっちゃん同士が『ここに柵を作ろう』といって、自分たちで柵を立て始めたり、漆搔きの足場が必要になったときに『山から竹切ってくるわ』や『ユンボ入れるで』など山や身の回りにあるもので足場をこしらえていくことを間近で見たときにすごくびっくりしました。他にも生活の面では、近所のおばあちゃんがお漬物やお味噌を手作りしていたり、山菜や筍を採って食べたり。田舎という環境だからこその面白さだと思います。」
───地域の方々と関わっていく中で大切にされていたことはありますか?
「うーん。特別なことは何もしていません…。強いて言うなら、地域行事や出合いにはできるだけ出席するよう心がけていました。でも、実際に参加したら、地域の方々は単身女性が曽爾村に移住したことがすごく珍しく心配だったようで『無理に参加しなくてもいいよ』という風に言っていただくことがありましたね。お野菜をいただくこともしばしばあったのですが、『地域の方々の優しさには仕事で返す』という思いをもって、協力隊の活動に励んでいました。」
✦出合い(であい):集落ごとの草刈りや河川の清掃の集まりのこと。年に数回ある